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針江 生水の郷 ~川端と水辺の暮らし~

2019年6月22日

 

針江 生水の郷 ~川端と水辺の暮らし~

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「川端(かばた)」という言葉を聞いたことがあるだろうか。琵琶湖の西岸、滋賀県高島市の針江地域では、比良(ひら)山地からの伏流水が自噴しており、住民は古くからこの湧水を「生水(しょうず)」と呼んで生活水として利用してきた。上水道が普及する以前は、飲料・炊事・洗濯など全ての生活用水は生水でまかなっていた。また各家や共同の洗い場で生水が湧き出す場所を「川端(かばた)」と呼び、自然から水をいただける場所、人々が集う場所として大切にされてきた。その後、上下水道が普及して川端は廃れかかったが、近年の「水」や人里近くの自然である「里山」を大切にする環境保全意識の高まりの中で、この湧水利用システムが注目されるようになった。特に2004年に、針江の川端を取り上げたNHK映像詩「里山-命めぐる水辺」が放映されると、国内外から大きな反響があった。私自身もその映像に感動した記憶があり、いつか訪れてみたいと思っていたが、今回その願いが叶い「針江生水の郷委員会」の方にご案内いただいた。
 

針江の氏神様「日吉神社」前の針江大川と、輸送手段が田舟(たぶね)だったころの船着き場
日吉神社前で説明する「針江生水の郷委員会」の三宅進会長(手前)

 
梅花藻が育つきれいな川​​
 
 2019年5月半ばの快晴の日に、針江地区公民館横にある針江生水の郷委員会事務所を訪ねた。当日は委員会会長の三宅進さんにご案内いただいた。
まず公民館と日吉神社の間を流れる針江大川の流れを眺めながら生水の郷の説明が始まった。大川という名の割に川幅はあまり広くないが、流れる水は澄みきって強い日差しに緑色の藻が輝いていた。やはり湧水地帯である静岡県三島市を訪れたことのある私は、「梅花藻(ばいかも)ですか?」と聞いた。三宅さんは「そうです」と嬉しそうに答えた。白い小さな梅花のような花を咲かせる梅花藻は、きれいな水にしか生息できず、それだけで針江大川の水質がいかに良いかの証拠である。 (さらに…)

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