夢に向かって挑み続ける木更津の若手芸者若葉さん

2018-06-21

 

夢に向かって挑み続ける木更津の若手芸者若葉さん

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千葉県内で唯一、稽古場を兼ねる「見番*」が残る木更津市で、地元観光協会の臨時職員として働きながら2016年9月に初お座敷を踏んだ若手芸者の「若葉さん」。後継者がいない若手が少ないと言われる芸者の世界に飛び込んだ動機や木更津芸者の魅力、お座敷遊びの楽しみ方についてお話を伺いました。(*見番:食事処等への芸者の手配や事務を行う所)

若葉さん

日本の伝統文化に携われる仕事に憧れて
―芸者の世界で生きていこうと思ったきっかけは何ですか?

 小さい頃、よく家族旅行で京都のお寺や神社を巡っていました。芸者になろうと思った原点は、京都の祇園で見た舞妓さんにあるのですが、小学生の頃は神社で働く巫女(みこ)さんか、海が好きなので海女さんになるのも良いなと思っていました。でもやっぱり舞妓さんに憧れていましたし、元々日本の芸事に興味があったので、芸者の道に進みました。

お座敷の数が成長に繋がる
―花柳界(芸者の生きている世界)に入る前と入った後で考えや気持ちに何か変化はありましたか?

 お稽古事が一つひとつ増えてきて、芸が身についてくると、お座敷に呼ばれる回数も多くなり、お客様がたくさんいるパーティー会場などで披露する機会が増えてきました。それが財産になり糧にもなっています。自分が思い描く芸者に近づいていると感じています。いろんな地域の伝統芸能・文化に興味を持つようになりました。また、芸者としての教養を高めるために、花柳界についての本などを読んで勉強しています。
 今は、先輩芸者のお姐さん方に混じり、花柳流(はなやぎりゅう)花柳寿万佳代(はなやぎすまかよ)師匠より踊りの指導を受けています。早く淑(しと)やかで品のある芸達者な芸者になりたいと思っています。

花柳寿万佳代師匠(右)より舞踊の指導を受ける

 
「二挺鼓」(にちょうつづみ)を継承していく
―今はどのような稽古をされているのでしょうか?

 今は「二挺鼓」という2つの太鼓を使った芸の稽古に力を入れています。これは、1人で小鼓(こつづみ)を右肩に載せ、大鼓(おおつづみ)を膝で支えて打つというもので、かつて江戸で流行っていましたが、今では木更津にしか残っていない大変貴重なものです。これを木更津芸者のウリにしていこうとしています。「端唄」(はうた)の練習もしています。江戸時代後期に流行った当時の流行歌で、三味線伴奏の3分くらいの短い歌曲(かきょく)です。その他に、「踊り」「三味線」「太鼓」の稽古に励んでいます。
 あと、芸者は品がなくてはなりません。品性はお茶から身に付くものなので、時間ができたらお茶を習いたいと思っています。

「二挺鼓」を披露

 
罰ゲームが楽しい
―「お座敷遊び」とは日本の伝統の粋な遊びですが、どのように楽しむのでしょうか?


 いろんな遊びがあるのですが、代表的なものの1つが「金比羅船々」(こんぴらふねふね)」です。お客様と芸者が向い合い、テーブルの真中にビールはかま(ビール瓶の下に敷く木等でできたコースター)を置き、「こんぴらふねふね」の唄を歌いながら、ビールはかまを片方が取ったら相手はグーを出し、取らなかったらパーをビールはかまの上に置くというルールで、間違えたら負けです。

お座敷遊び「金比羅船々」

 
 私が一番好きな遊びは、「菊の花」です。小さなお盆の上に数個杯を裏返して並べ、1つの杯に菊の花を隠します。「誰が取るのか菊の花」と歌いながら1人ずつ杯を開けていきます。菊の花が出た人が負けで、罰ゲームとして開いている杯の分だけお酒を入れて飲み干します。ただし、両側にいる人に助けを求めることもできます。じゃあ君2杯、あなたは3杯飲んで、僕は5杯飲むからと。開いている杯が多いとそれだけ飲むのが大変になりますが楽しいです。
 お座敷遊びでは、失敗したら罰杯(ばっぱい)と言ってお酒を一気飲みするのがルールです。一見地味な遊びに見えますが、やってみると結構楽しく盛り上がります。お酒が飲めない方はジュースやお水を飲んでいただくのですが、それでも十分楽しめます。

お座敷遊び 「菊の花」で使われる杯と菊の花ビラ

 
木更津の活性化は芸者衆の力で
―木更津駅前通りの活気が失われて久しいですが打開策は?


 1960年代の最盛期には、200人もの芸者がいたそうです。往時を偲ばせるものの1つに、現在も「見番」として使われている「木更津会館」に当時使われていた芸者の源氏名(芸者などがつける芸名)が書かれた木札が今でもたくさん掛かっています。
 今、木更津芸者は私を入れて10名で、置屋(芸者を育て抱えているところ)は、「ともの家(とものけ)」「琴むら(ことむら)」「若寿(わかひさ)」「新春日(しんかすが)」「千代松(ちよまつ)の5つになってしまいました。しかし、千葉県で花街(かがい)(芸者がいる街)があるのは、木更津と鴨川だけなので、見方を変えればウリ(強み)になると思っています。
 現在、木更津では、市長さんを先頭に観光協会そして個々の事業者さんが、地域の活性化に向けて、いろいろ頑張っているところです。その中の1つに「花柳界から元気な木更津を取り戻そう」という取組もあります。木更津駅前通りを歩く芸者が増えれば華やいだ雰囲気になり、自然と人が集まって来るのではないでしょうか。なので、木更津芸者を増やしていきたいと考えています。みんなで力を合わせて盛り上げていけば、活気ある木更津が戻ってくると思っています。

木更津の見番「木更津会館」の玄関 見番に残る芸者の源氏名が書かれた木札

 
一生花柳界に携わりたい
―若葉さんの今後の抱負をお聞かせください

 まだ駆け出しの身なので踊りを極めていくのは当たり前ですが、今は三味線の稽古に熱が入っているところです。
 先の話になりますが、結婚しても花柳界に関わる仕事は続けていきたいと思っています。そのために、「地方(じかた)」(三味線、唄などの演奏をする人)もきちんと身に付けたいですし、舞台衣装の着付のお稽古もしていきたいです。

 

 
<若葉さんプロフィール>
東京都で生まれ、千葉県佐倉市で育つ。幼い頃、京都の祇園で見た舞妓に憧れ、いつの日か芸者になることを夢見る。その夢を叶えるため2016年木更津芸寮組合の門をたたく。
木更津市観光協会で臨時職員として働きながら稽古を積み同年9月、21歳の時に初お座敷を踏む。

<見番 「木更津会館」>
問合せ:一般社団法人木更津市観光協会 TEL:0438-22-7711

http://www.kisarazu.gr.jp/

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