各部の制作は熟練の技と長時間の作業を必要とし、例えば頭は十数段階の制作工程があり、その中でも「中塗り」や「上塗り」という白いきめ細かい肌の色を塗っていく工程は、塗っては乾かすことをそれぞれ5回~10回も繰り返す手間のかかる仕事です。
京雛人形の着物は伝統的な公家装束を忠実に再現しており、特に男雛、女雛は京都御所にいらした天皇、皇后を象徴しています。女雛の十二単は華やかな宮廷文化を今に伝え、人形の顔は優雅さと気品にあふれています。
京都で雛人形を飾りつけするときの男雛、女雛の位置は、関東など他の地域と違って男雛が向かって右側になります。これは遣唐使の時代に中国から伝わったといわれる「左上位」(皇帝は北極星を背にして南向きで座り、日が昇る東側(左側)をより高貴な位置とする)の伝統礼法に従っているからだそうです(現在は天皇皇后両陛下も公式行事では国際儀礼に合わせた「右上位」の並び方をされています)。