温泉は日本の宝

2014-10-28
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温泉エッセイストの山崎まゆみさんに、戦国武将や文豪が訪れた名湯と秋の紅葉が楽しめる温泉などを紹介してもらいました。

日本人はこんなに温泉が好き

 日本人は温泉が大好きです。古くは、1300年も前に各地の生活を描いた風土記を見ると温泉に関する記述が残っています。『出雲国風土記』(733年)には、玉造温泉(島根県)は「老いも若きも男も女もみな温泉に入り和んでいた。温泉に入れば健康になるし、美しくなる。そんな温泉を神の湯として崇めた」と記してありますし、同じ時期に親しまれた温泉は白浜温泉(和歌山県)なども、そのひとつです。

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南紀白浜温泉

 ちなみに、現在、玉造温泉は若い女性で賑わっています。というのは、縁結びの神様がいらっしゃる出雲大社の近くとうこともあり、美肌の湯に加え、縁結びの温泉地として、若い女性に大人気となっているのです。美しくなり、恋が成就するという温泉地です。

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(写真左)美人の湯として名高い玉造温泉
(写真右)玉造温泉の源泉から温泉を持ちかえることもできる

 また戦国時代に活躍した武将武田信玄(1521-1573)は、戦いによって負った傷を温泉で癒しました。それは切り傷などを温泉で治したこともありますが、精神的な安らぎも大きかったのだと思います。下部(しもべ)温泉(山梨県)は武将や傷兵を癒した代表的な温泉地です。

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草津温泉湯畑

 江戸時代には、お伊勢詣でとともに湯治旅がはやりました。草津温泉(群馬県)などは江戸の人たちが通った名湯です。硫黄成分がたっぷりと入った草津温泉に2週間から1カ月ほどの長逗留をした後に、江戸の人たちは「仕上げの湯」という肌に馴染む優しく柔らかい湯に入り、肌を落ち着かせて、江戸へと帰っていったと伝えられています。

 ここでちょっと「仕上げの湯」について説明します。硫黄成分が多く含まれる酸性の草津温泉は、肌の皮脂や角質を落とします。実際、湯上りもすっきりと清涼感も得られます。ただ、肌の洗浄効果が期待できる分、十分な保湿をしないと人によっては肌荒れを起こす原因ともなります。江戸時代は、そうした保湿などというものではなく、草津からの帰りに、保湿成分も高く、優しい肌触りの温泉「仕上げの湯」に入浴したといいます。

 そして明治時代から、大正時代、昭和時代初期の頃、多くの文豪たちも温泉を愛しました。ノーベル文学賞を受賞した川端康成(1899-1972)は『雪国』を越後湯沢温泉高半(新潟県)で執筆しました。高半には、いまも川端が逗留した客室「かすみの間」がそのままの形で残っています。妻への書簡に「この温泉は神経痛によいらしい。暖かくなつたせゐもあらうが、徹夜の後の無理で痛んでも直ぐよくなる。……湯はぬるいこと 前述通りだが、石鹸のあぶく立つこと、東京以上で、肌にいいと思はれる。」(昭和9年6月16日付 妻に宛てた手紙より)とあるとおりに、越後湯沢温泉の湯をこよなく愛した。

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高半 越後湯沢温泉   高半 客室「かすみの間」

 このように、いつの時代も、日本人の歩みとともに温泉が「癒し」を担ってきました。現在も、多くの日本人は温泉を思うと「ふわ~っ」とした、入浴したときの温もりを思いおこすでしょう。そして温かい気持ちになるのではないでしょうか。

日本人は絶景露天風呂が好き

 日本人は温泉が好きです。温泉そのものだけでなく、温泉からの眺めも重んじます。
日本には世界に誇る富士山があります。この富士山を眺めながら温泉に入るのは、外国の方にも好まれているようです。例えば、ほったらかし温泉(山梨県)などは、テレビドラマの撮影などにもちょくちょく使われています。現在、その風光明媚の景観から、たくさんのお客さんがやってくるようになり、充実した入浴施設が完備されていますが、以前は、簡素な脱衣所と富士山を眺めるだけの露天風呂しかなかったのです。そこから「ほったらかし温泉」と名付けられたようです。

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ほったらかし温泉 鬼怒川渓谷の紅葉

 日本には、四季があります。ちょうどこれからの季節は紅葉が美しい。日本各地に紅葉の名所がありますが、鬼怒川温泉(栃木県)もその1つです。鬼怒川の渓谷に色とりどりの紅葉が映える風景が素晴らしい温泉地です。また、鬼怒川沿いに近代的な温泉旅館が立ち並びます。大きな規模の旅館も多く、外国人旅行客にも優しい宿がたくさんあります。「鬼怒川グランドホテル夢の季」もその1つです。

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(写真左右)鬼怒川グランドホテル夢の季

 日本人がこよなく愛する温泉。日本を知る旅として、温泉に出かけてみませんか。

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温泉旅館(旅)への持ち物

 わたしの湯めぐりの相棒は日本手ぬぐいです。いつも2本持ち歩きます。一日に何湯も巡るのですが、湯から上がり1本使い、次の場所で1本。軽くて、コンパクト。持ち運び便利なうえに渇きも早い手ぬぐいが便利なのです。
実は、江戸時代から手ぬぐいが愛用されてきました。錦絵などを見ると、男女ともに湯からあがると首から手ぬぐいをかけているんですよ。

入浴前の準備も忘れずに

 温泉入浴は癒されるものですが、思っている以上にカロリーを消費します。42度の湯に5分浸かると、10分ほど早歩きした時の消費カロリーと同等と言われるほどです。空腹だと湯あたりしてしまいます。かといって、満腹すぎても苦しくなってしまいます。ですから空腹過ぎず、満腹過ぎずというのが鉄則。
入浴前はチョコレートなど簡単にカロリー摂取できるのでおすすめします。
旅館の客室に置かれている「温泉まんじゅうとお茶」これは理にかなっているものなのですよ。

日本流の入浴のマナー

 外国の方にもぜひ日本流の入浴をマスターしていただきたいですね。
大浴場に入ると脱衣所があります。ここで服を脱ぎ、ロッカーか籠に洋服を入れてください。そして特に女性の場合は髪もまとめてください。日本では湯船に髪の毛が入ることは不潔とされています。
タオルか手ぬぐいを持ち、大浴場へ。
シャワーブースがあれば、そこで身体をよく洗ってください。シャワーがない場合は、湯船から桶でお湯をすくい、身体を洗ってください。
体を洗ってから、湯船の温泉へ。
充分に温まったら、またシャワーブースで、今度は髪を洗ったり、身体を洗ったり。
再度、温泉に入り、持参したタオルで身体を拭いて、脱衣所へ。

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