侍文化体験《サムライ剣舞シアター》

2016-04-13

侍文化体験《サムライ剣舞シアター》

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世界最大の旅行口コミサイト『トリップアドバイザー』は、「外国人に人気の日本の観光スポットランキング」を毎年発表している。この人気ランキング2015年版で、京都市東山区にある「サムライ剣舞シアター」が8位を獲得した。全国の多くの有名観光スポットを抑えて、8位にランキングされた「サムライ剣舞」とは何か。体験と実演で構成されるプログラムを見学するとともに、参加した外国人観光客に感想を聞いてその魅力を探ってみた。

侍文化を世界に発信したい

 三条通と花見小路通の交差点近くのビル地階にあるサムライ剣舞シアターを訪ねた。同剣舞シアターは、滋賀県の剣舞流派「正賀流」(せいがりゅう)の師範である鉤 逢賀(まがり おうが)さんが運営する剣舞道場である。同流派宗家の孫でもある鉤師範に剣舞とは何か、そして京都に道場(剣舞シアター)を設立した目的を伺った。
  「剣舞は日本の伝統芸能の一つです。武士の装束で刀と扇を携え、漢詩や和歌の吟詠に合わせて舞うもので、1演目約2分半の演舞の中に、侍の価値観や精神性が凝縮されています。侍文化は日本文化のルーツの一つであり、その価値観・美意識は我々現代の日本人の中にも多くの点で生き続けています。京都には多くの外国人旅行者が日本的な体験を求めて来られているので、彼らに英語で侍文化とそれをルーツとする「日本らしさ」をご紹介し、体験もしていただくことで、多文化理解の促進に寄与したいと考えています。また外国の方に理解され喜んでいただくことで、国内でも剣舞という伝統芸能に対する理解が深まることを望んでいます。」。

1時間のサムライ体験

 サムライ剣舞体験教室には1時間の簡単レッスン体験と約2時間(105分)の本格レッスン体験があり、この日は11時15分から簡単レッスンと本格レッスンを続けて取材した。簡単レッスンを体験した2組は、フィンランドのMr. Heikki HuhtaとMs. Essi Huhtaの夫妻とフランスのMr. Tom SofferとMr. Leo Sofferの兄弟、本格レッスンを体験したのは米国から来たDavid, Andrew, Jack, HenryのMarriott一家だった。全員が取材を快諾してくれたので、彼らのサムライ体験を密着取材することができた。
 レッスンはまず帯だけ腰に巻いた格好で、刀(模擬刀)の扱い方から始まった。 全員足袋型のソックスを履いて板張りの練習場に立ち、師範の指示に従って刀の持ち方、帯の間への差し方、抜き方を練習。刀を腰に差すと皆何だか嬉しそう(特にマリオット家の3兄弟は満面の笑顔)だった。続いて刀の構え方、振り下ろし方を練習したが、特に振り下ろすのは難しいらしく、壁一面の鏡に映った自分の姿を見ながら師範の指示と掛け声に合わせて真剣な表情で何度も素振りを繰り返し練習した。師範に姿勢と腰の入れ方を指導され、力を抜くよう注意されているうちに、段々と空を切る刀が良い音を出し始めた。参加者の顔に笑みが戻って来た頃、今度は横に刀を払う練習、そして振り向いて後ろの敵を切る動作などの練習が続く。
  一通りの動作を練習した後、フランスのSoffer兄弟は撮影用に着物に着替えた。話を聞くと日本には1週間の観光で両親と一緒に来ていて、桜やマンガを見るのが楽しみだという。サムライ剣舞はネットで見つけ申込んだ。刀の使い方に興味があったので体験できて良かったと嬉しそうに答えてくれた。
  同じように簡単レッスンを体験したフィンランドのHuhta夫妻は、どこか遠くに行きたいと思い日本に来たという。武道や日本文化に興味があったのでサムライ剣舞を選んだ、刀を使った型や動作が楽しかったと感想を語ってくれた。
 この二組は体験終了前に、最後の型を練習してから記念撮影を行った。1時間の練習で刀の扱いもすっかり板につき、カメラの前でサムライに成り切ってポーズを取った。

   

剣舞を本格体験

 本格レッスンを申し込んだ米国のMarriott一家は、気に入った侍姿に着替えて引き続きレッスンを受けた。本格レッスン体験では、吟詠に合わせて剣舞を舞うところまで練習し、最後に各自の剣舞を披露する。
 レッスンの合間に父親のDavidさんにお話を伺った。
 サムライ剣舞を申し込んだのは男性群とは別行動をしている奥様で、ホテルのコンシェルジュに調べてもらって申し込んだようだという。体験する前のイメージと、実際に体験してからの感想を聞くと、「サムライのイメージは映画や、以前兄が日本にいたのである程度持っていました。そのイメージと大きく違っていませんでしたが、サムライの衣装を実際に着て、刀の使い方も体験できてとても興味深かった」と答えが返ってきた。
 日本に着いて直接京都に来たばかりなので他と比較はできないが、体を動かすことや、文化を体験することが好きなこともあり、普通の観光の途中で気分転換をするのにとても良いと思うと感想を述べてくれた。

 
 
 
 
 

侍文化の解説を聞きながら本格的な剣舞を堪能

 続いて午後1時からは、師範たちが本格的な剣舞を披露する実演が行われた。どこかで休憩していたHuhta夫妻とSoffer一家が、戻ってきて剣舞のデモンストレーションを見学した。デモンストレーションではまず、鉤 逢賀代表が日本の伝統文化の代表的なものを紹介し、その1つとして侍文化を凝縮したものが剣舞であることを解説した。
 その後伝統的な剣舞を舞い、間に剣舞における動作や扇の使い方などの解説を挟みながら、最後は現代風なアレンジを加えた剣舞を披露する。各剣舞の初めにはストーリーを英語で紹介するので、歴史の知識がない外国人旅行者でも、目の前に展開される剣舞の意味がよく分る構成になっている。
 扇の使い方の説明では、演者が扇を持って動作をし、それが何を意味するかを観客に当ててもらう。「これは風。ではこれは?」という具合に、1つの扇で風、雨、雪そして舞い散る桜などを象徴して表現する。日本の伝統芸能らしい表現方法を観客が次第に理解していく様子が伺われる。また切腹の意味や作法まで紹介するのには驚いた。鉤代表の本気さが伝わってきた。1時間の実演の最後には、演者との記念撮影のコーナーもありサービス精神もたっぷりだった。
 剣舞実演のあとに感想を聞いてみた。Huhta夫妻は「サムライの歴史や生き方を知ることができた。刀の使い方も習い、見るだけの観光よりもずっと楽しい」と語ってくれた。TomとLeoのSoffer兄弟は「歴史が興味深かった。サムライはイメージ通りだったけど、着物は思っていたよりシンプルで驚いた」と話してくれた。
 進行や解説は全て英語で行われる外国人のためのプログラムだが、内容は日本人の目から見ても興味深い。トリップアドバイザーで外国人観光客に支持された今、日本人の若者にも剣舞の魅力を広めたいという鉤代表の次の目標もそう遠い先ことではない気がした。


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サムライ剣舞株式会社(サムライ剣舞シアター)
〒605-0005 京都市東山区三丁目35-7 三条花見小路東入ル ネオアートビルB1
TEL:075-751-2033
URL:http://www.samurai-kembu.jp/jn/
最寄駅:京都市営地下鉄 東西線 三条京阪駅 1番出口から徒歩3分

 

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