「知床半島は、2005年に世界自然遺産に登録されましたが、登録対象は陸地だけでなく沖合3㎞の海域を含み、面積は、緩衝(かんしょう)地帯を含め71,100 haあります。海洋を含む登録は国内では初めてでした。そんなに広くないこのエリアに、海にはシャチやアザラシ、トドにマッコウクジラ、森にはエゾシカ、キタキツネ、ヒグマに絶滅危惧種のシマフクロウやオジロワシなど数百種の生き物が生息しています。流氷が運んで来た栄養豊かなプランクトンを海で食べたサケやマスが秋に川を遡上(そじょう)し、それをヒグマが捕まえ餌にしています。ヒグマの食べ残しや糞が広葉樹や針葉樹など植物の養分になります。この狭い範囲にこんなにたくさんの大型獣が生息しているのは世界でも珍しいのです」と、新藤さんが知床における食物連鎖と多種多様な生き物が生息している話をしてくれた。