「茶園の数だけ違いがある」生産者にインタビュー
茶工場の中を忙しそうに走り回る奥富さんに、申し訳ないと思いながらも声をかけた。「2つだけ質問よろしいですか?」奥富さんは立ち止まって、にこやかに答えてくれた。
1つ目の質問は、生産者から見た狭山茶の魅力についてだった。
「狭山の茶園の特徴は、自園で茶を育て、自分の工場で茶を作り、自ら販売もしているところです。全国的には分業が普通だと思いますが、自園で全て行うことは茶園ごとの特徴を出せることにつながります。これが狭山茶は茶園の数だけ味に違いがあると言われる理由です。また狭山は茶作りの北限で、鹿児島であれば年に 4~5 回収穫できるところを二番茶までしか採りません。茶樹へのダメージを考え、翌年の春への準備をするためです。さらに寒い地域の茶なので葉肉が厚くなり、その分、味が濃厚です。また葉肉が厚いため、『狭山火入れ(びいれ)』といわれる強い火力で乾燥させる仕上工程が可能で、時間がたっても風味が落ちず、味わい深い、良い香りのお茶に仕上がります。」
2つ目は、狭山茶生産者としての今後の展望と抱負をお聞きした。
「先ほど言った『自園、自製、自販』は昔からの狭山茶の特徴です。それを日本農業遺産として登録したいと思っています。また、小さい園が多いため、これまでは海外輸出はほとんどしていませんでしたが、今後は輸出にも力を入れたいですね。今年フランスで日本文化紹介のイベント『ジャポニスム2018』がありますが、私達も参加して狭山茶を紹介してきます。ぜひ輸出につなげたいですね。