日本の食(静岡県奥浜名湖地域)

2014-01-27


日本の食(静岡県奥浜名湖地域)

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平成25年12月6日~8日の3日間、浜名湖と新東名高速道路に挟まれた「奥浜名湖地域」で外国人留学生による観光モニターツアーを開催した。食も含めた奥浜名湖地域の観光資源が外国人にどのように受け入れられるかをモニタリング調査する試みで、カナダ、中国、韓国からの留学生が参加した。今回の「食」に関する記事では、このモニターツアーで留学生が体験した同地域の食について留学生の感想も取り上げながら紹介する。

 

『グラニーズ』のハンバーガー

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 「日本の食」なのにいきなりハンバーガーで恐縮だが、モニターツアー1日目のランチは天竜浜名湖鉄道(天浜線)三ヶ日駅の構内にあるカフェ・グラニーズでアメリカンハンバーガーを食べた。天浜線は駅員のいない無人駅であってもレストランがあったり、駅舎内の喫茶店のオーナーがユリカモメに餌付けをしていたりと、変わった駅が多いので気になっていた。三ヶ日駅のグラニーズは、店に入ると目に飛び込んで来るもの全てがアメリカンな感じがするカフェだ。

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 ところが聞いてみると、店主の佐藤晴美さんは大阪でマクロビオティック(玄米や野菜を中心とした健康的な食事法)のクッキングスクールを卒業しているという。グラニーズで出す料理の材料も地産地消にこだわり、身体に悪いものは一切使っていないとのこと。
 でも……「巨大なアメリカンバーガー」と「マクロビオティック」がどうも頭の中で一緒にならいない。普段「美味しいものは体に良くない」と思って、いつも決死の覚悟で「美味しいもの」を選んでいる記者の信念とどうも合致しない。そんな矛盾を感じながら、1つ1つ手作りのハンバーガーが出来上がるのを留学生モニターと一緒に待った。

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 記者がオーダーしたのは三ヶ日みかんで育てた三ヶ日牛の肉100%の「三ヶ日バーガー」、学生達は店の名前が付いた「グラニーズバーガー」を食べた。出てきたバーガーを見てまずは皆で「ワォ!」とにかく大きい。ちなみにグラニーズバーガーの中身を列挙してみると「(下から)バンズ・マッシュポテト・ナチュラルチーズ・グリルドオニオン・牛肉100%パティ・特製マンゴーソース・チェダーチーズ・トマト・レタス・目玉焼き・厚切りベーコン・バンズ・ピクルス(以上)」である。
 食べ方は自由だが、晴美さんが1つだけ注意したのは「包んである袋のまま食べて」だった。食べてみると野菜も肉も新鮮でジューシーで美味しい。巨大なので潰しながら食べることになり、その分汁が出る。袋が必要なのはそのためだ。

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 学生達の感想を後日彼らが投稿したトリップアドバイザーの口コミから拾ってみると以下のようなものだった。
 「今まで食べたハンバーガーの中で一番美味しい」「人生最大のハンバーガー。大満足」「地元の肉や野菜がいっぱい詰まっているのに、バンズが最後までグジャグジャにならない」「この店がうちの近くにあったらいいのに」「また来たい!」コメントだけでなく、全員の評価が満点の5点だった。


『きじ亭』キジ肉の刺身とイノシシ鍋

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 モニターツアー2日目のランチは純和風。と言ってもなかなか普段東京では食べられないキジとイノシシの料理を『きじ亭』にて体験した。体験というとオーバーなようだが、日本人でもキジの刺身は食べる機会がないところ、まして外国人留学生にとってはまさに初体験である。

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 「キジの刺身?」と少し驚いて顔を見合わせていた学生達も、目の前にキジ肉が並ぶと興味津々な表情で目を輝かせた。イノシシの肉と野菜を鍋に一気に入れて煮えるのを待っている間に、キジの刺身を食べ始めた。中にはあっと言う間に完食する者がいて、食べている様子を写真に撮ろうとカメラを構えたのに、皿には何も残っていなかった。「さっぱりしていて美味しい!」が彼の感想だった。

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 キジ肉はこの地域の養殖場から仕入れているので一年中食べられるが、イノシシはこの時期だけの特別メニューだ。見るからに新鮮で綺麗な肉で、鍋で煮ても固くならない。味噌仕立てのスープとピッタリ合っていて、食べだしたら皆箸が止まらなかった。イノシシ鍋は野菜も豊富でとてもバランスが取れた料理だった。

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 留学生モニターのアンケート回答を見ると「本当にお腹いっぱいになった」「ただ美味しいという言葉だけでは表現できない」「ちょっと贅沢で珍しい料理に『お・も・て・な・し』を感じた」など満腹・満足を感じる言葉で溢れていた。

 


『鰻いしかわ』 うな重

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 浜名湖周辺で「食」と言えば誰でも最初に思い浮かべるのがウナギだろう。ウナギを食べずして奥浜名湖を立ち去りがたい。ということでモニターツアー最終日の昼食は、うな重で締めくくることにした。

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 奥浜名湖引佐町(いなさちょう)にある名店『鰻いしかわ』のウナギ調理法には特徴がある。ウナギ料理には関東風と関西風がある。よく言われるのは、関東風はさばいて白焼きした後に蒸して軟らかくするが、関西風は蒸さないところが違うこと。ところがもう1つ違いがあることを今回『鰻いしかわ』の店主から伺った。関東風はウナギをさばく時に背中からさばくが、関西風は腹から開く。この店では関東風に背中を開くが、焼いた後に蒸さないのは関西風だという。手間がかかるが焼き上がった姿が美しいと言われる関東風の開き方と、脂が乗って香ばしい関西風の仕上がりが特徴なのだ。更にタレの味付けが東京とだいぶ違う。店主によれば、蒸さずに脂が多くウナギ自体が甘めなのでタレはさっぱりと辛口にしているとのこと。この土地ならではこの店ならではの味を堪能した。

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 余談だが調べてみると関東風でウナギを背中からさばくのは、武士の町江戸では「腹を切る」ことが嫌われたからという俗説があるという。Wikipediaによれば、実際は「蒸し」の工程がある関東風では、腹から裂くと外側の身が薄く崩れて串から外れてしまうからだそうだ。個人的には俗説の方が面白いと思うが……

 留学生モニターたちの感想をアンケートやトリップアドバイザーの投稿から拾ってみると以下のようなものだった。

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 「モニターツアーを締めくくるのに最高のランチだった」「シンプルでいて完璧!」「素晴らしい香りで、脂がのっている」「今まで食べた中で最高のウナギ」「1週間経った今でもあの味が忘れられない」など皆ウナギに恋をしてしまったようなコメントが並んでいた。

 

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 奥浜名湖地域モニターツアーでは今回紹介した絶品ランチだけでなく、120年の歴史がある『入河屋』の和菓子、養蜂場が経営する『長坂養蜂場』の多彩なハチミツ製品、みかん農家『マル敬』の甘くて瑞々しい三ヶ日早生みかん、『立岩牧場』の新鮮な牛乳で作るソフトクリーム、方広寺門前『野沢製菓』の大あんまきと『中尾商店』の江戸豆腐油揚げ、バスガイドに一番人気の『竜ヶ岩洞』売店のジェラートなどなど、多種多様な「地域の食」に触れることで、日本の食文化の素晴らしさを知ってもらう良い機会になった。

 

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