まず1つ目は、「登拝する(信仰の心を持って登る)山」と題された同センターの特徴の1つである193mのスロープだ。逆円錐形の建築構造を活かして作られたループ状のスロープを、壁に映しだされる登山者目線の映像を見ながら、自らの足で上って行くことによって富士登山を疑似体験する仕組みになっている。
スロープを上るにつれて変化する映像体験には2種類の映像効果が使われている。その1つはタイムラプス映像で、一定の間隔で撮影した写真をつなぎ合わせることにより、長時間にわたって起こる変化をたった数分で表現できる。つまり193mのスロープを上る内に、あたかも富士山を平地から頂上まで登山したような映像体験ができる。
またもう1つの映像効果は、壁の一部に描かれた登山道の背景画に登山者のシルエットを映像で映し出すもので、スロープを上る見学者に富士登山の臨場感を与えると同時に、雨が降ってきた設定で雨具を着る様子を映し出すなど、登山準備の注意喚起の効果もあるという。ここに使われている背景画は、東宝映画のゴジラなど特撮モノの背景画で有名な島倉二千六(ふちむ)氏が担当している。