明治2年(1869年)に都が京都から東京へ移り、平安京以来1000年以上にわたって日本の首都として栄えてきた京都の産業も急激に衰退、人口も激減した。そこで京都の繁栄を復活させるため行われたのが琵琶湖疏水事業だった。琵琶湖から京都へ水を引き込み、水運を発達させ、同時に水車による動力、かんがい、防火などに利用するというこの事業は、途中日本初の水力発電実用化につながり、その後人口増加、産業の振興に欠かせない水道事業へと発展した。また古都の環境を守ることに配慮した計画により、疏水によってもたらされた水辺の景観は京都の魅力を更に高めることとなった。今回はその琵琶湖疏水の歴史を振り返りながら、疏水を巡る散策路をご紹介する。