23日の午前中は、法会の場所を弘法大師が今も瞑想を続けているといわれている御廟(ごびょう)のある奥之院*に移した。静かに石畳を濡らす雨の中、高野山の高僧たちは赤い長柄傘を手に列をなして行進した。そして御廟の手前にある燈籠堂において、弘法大師の日頃からのご加護に感謝する厳かな法会を営んだ。
午後からは再度場所を壇上伽藍に移し、御影堂における献茶・献花の後、僧侶たちが読経と散華(さんげ)(供養のために花や蓮の花の形をした紙を散布すること)を何度か繰り返して2日間にわたる法会の幕を閉じた。
奥之院*:高野山信仰の中心地であり、最奥部の御廟では弘法大師が1200年の時を超えていまだに深い瞑想の中にあると言われている。一の橋から御廟までの2kmあまりの参道沿いには、戦国時代からの有名大名たちの苔むした墓石が樹齢千年を超える杉木立の中に並んでいる。