久礼の町中で地元の台所として明治時代から営まれてきた「久礼大正町市場」には、新鮮な魚や干物、野菜、果物、総菜、魚介のどんぶり物などを売る十数軒の小さな店が立ち並ぶ。もともとは、地元でとれすぎて食べきれないものを「おすそわけ」する場として始まったといわれる。
昼前から店が開き、その日にとれた物が所狭しと店頭に並ぶ午後2時くらいに県内外から多くの客が訪れ、にぎわいはピークとなる。常設の店舗の間には、漁師町のおばちゃんたちが折り畳みの台に、夫や息子が捕ってきた魚を広げている。客は旬の食材、魚の料理方法などを教えてもらい、会話を楽しみながら買い物ができる。陽気な笑顔、威勢の良い掛け声がアーケードに満ちている。