はじめに
盆栽-というと、皆さんも一度は聞いたことがあるかもしれませんが、実際に盆栽を育てているという人は多くないかもしれません。でも、さいたま市では、地元の小学生が授業で盆栽を作り育てたり、地域の公民館でも盆栽講座が開催されていたりと、子どもから大人まで多くの人にとって「盆栽」がとても身近です。そこには、「大宮盆栽村」と呼ばれるこの地域特有の盆栽文化発展の歴史(1923年の関東大震災をきっかけに、東京から盆栽業を営む人々が大宮へ移住して新しく「大宮盆栽村」という地域を作り上げました)があるのですが、今回はその大宮盆栽村にある「さいたま市大宮盆栽美術館」についてご紹介します。
春夏秋冬、一年中盆栽を見られる美術館
大宮盆栽美術館には、ほぼ毎日、海外からの来館者が訪れています。今、世界で盆栽は「BONSAI」として親しまれ、愛好家は世界中に存在しています。しかし、盆栽の“美術館”となると、当館が世界でも唯一の存在といえます。なぜなら、海外の場合は植物園などの一区画として盆栽展示を行う場合が多いからです。当館の最大の特徴は、命ある盆栽を“生きた芸術(Living Art)”として、展示・公開しているところにあります。特に、盆栽にとって管理が難しいと言われる春夏の季節にも、盆栽の室内展示を行っていることが海外の盆栽関係者から高い評価を受けています。先日もアメリカから来た盆栽家が非常に驚いていました。また、屋外の盆栽庭園では常設展示として約50鉢の盆栽を一年中いつでも見ることができます。なかには、「貴重盆栽」第一号の花梨(貴重盆栽とは、日本盆栽協会が認定する、芸術的に優れかつ樹形や樹種が学術的価値の高く、またその樹の由来や伝承が歴史的に貴重な盆栽)や、樹齢が数百年ともいわれる盆栽など、貴重な盆栽の数々を四季折々の姿で鑑賞することができます。