エピソード61 山口―警察署の一夜

 

ズザナとミーシャ 日本の魅力大発見
~チェコ人カップルの日本縦断自転車旅行~

【エピソード 61】
<山口ー警察署の一夜>

宇部(うべ)という地名はそれまで聞いたことがなかったのですが、いまでは一生忘れられない名前になりました。生まれて初めて警察署で一夜を過ごした場所になったのです。刑務所の独房じゃなくてよかった!

とはいえ、まずは大事なことから。今回もやはり、地元の人たちはものすごく親切でした。呉(くれ)では交通量の多い夜道でヤスヒラさんに呼び止められ、イタリア製のチョコレートを一箱いただきました。また別の紳士からは、宇部市へようこそということで、スパークリング日本酒を1本いただきました。このような気遣いに私たちはじーんときたし、とても感動しました。

宇部の郊外の公園にテントを張ってから、温泉娯楽複合施設に向かいました。ミーシャが夕食前に野球の腕試しをしてから、食事と入浴がセットになったチケットを購入しました。

ところが、私たちは施設に入らせてもらえませんでした。受付係からラミネート加工した表示を見せられ、日本語を話せる人と一緒でなければ入れないと言われました。私たちは何ヶ月も(そして何キロメートルも)日本で生活していて、ほぼ毎日なんの問題もなく温泉に入っていると説明したけど、らちが明きませんでした。施設の支配人は、日本語を話さない人の入館を認めると、非常時に安全上問題になると言い張りました。

その後、ミーシャはこの温泉施設のロビーで持ってきた食料を食べ始めました。すると若い職員がやってきて、外からの食べものの持ち込みは認められないと注意されました。それは理解したものの、私たちは施設の出す食事を食べることが許されないので、ややこしい状況なのだと伝えました。話し合いをする中で私が、これは差別なので、警察を呼んだらこの扱いが違法だと同意してくれるだろう、ということを言いました。そしたら、「警察」という言葉を耳にした支配人は、残りの言葉をろくに聞きもせずに、本当にお巡りさんを呼んだのです! かいつまんで話すと、7人の警察官がやって来て、基本的には私たちの意見に同意してくれたのだけど、当然ながら施設のルールは尊重しなければならず、出て行くことになりました。巡査部長さんは公園でのキャンプによい顔をせず、とりわけ雨も降っているからということで、テントをしまうのを手伝ってくれた上に、警察署の中のベンチをベッド代わりに提供してくれました。

かなり型破りな本州最後の夜を過ごした後、私たちは下関に向けて出発しました。さようなら本州、春にまた会おう!

 

 

 

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