芸者と一緒にお座敷遊びを楽しむ外国人客。地域の観光資源とのセットプランを、箱根では一の湯が初めて商品化した。芸者と連携したプランでは、お得な料金で多くの外国人に日本文化を楽しんでもらっている。最初は舞台上で歌と踊りで見せる、だんだん客との距離を縮めていって、最後はみんなで写真を撮ってお開きとする――構成プログラムは距離感を大切にしていて、少しずつ客に近づいていくという演出をしている。そのほか、みかん狩りやワカサギ釣り、寄木細工づくり、美術館見学などが設定され、地域の活性化に貢献してきた
お客さんは何を目当てに来ているのか……別に布団を敷いてほしくて来ているわけではないし、お茶を入れてほしい、夕食時に女将に挨拶に来てほしいわけではない。「何を求めているのかというと、温泉にいくらでも入れるということであり、お茶を気兼ねなく飲めることではないのかと気づきました。結果として海外の方の感覚に合っていたようです。取り組んできたことは、一の湯にとっては「生産性」であったが、客はそれを「利便性」として受け取っていたと思います。顧客満足向上も生産性を上げた結果なのです。」と矢後さん。