今治タオルプロジェクト
安い輸入品の攻勢に生産量の減少が続く状況を打破し、品質のさらなる向上と今治タオルの知名度を上げる産地のブランド化を目指すため、2006年に国の「JAPANブランド育成事業」の補助金を得て『今治タオルプロジェクト』を立ち上げた。
「タイミングと縁と言ってよいと思いますが、このときクリエイティブディレクターの佐藤可士和さんに巡り合ったのです」と木村専務がいう運命の出会いが、プロジェクトを成功に導くことになった。キリンビールやドコモ携帯のデザイン、TSUTAYAの空間デザイン、ユニクロのグローバルブランド戦略など、多くのブランディングプロジェクトで高い評価を得ていた佐藤氏のプロジェクト参加により、「白地のタオル」をキープロダクトに設定し、「安心・安全・高品質」をコンセプトとすることが決まった。またタオルの品質を支える今治の太陽・海・空・水と白いタオルを象徴する赤・青・白を使い、imabariのiを象ったロゴマークが品質を保証するアイコンとなった。
2007年当時中国製の食品における「段ボール入り肉まん」や「毒入り餃子」の事件が発生しており、日本国内で安心・安全に対する関心が高まっていた。また輸入品により疲弊した産地が頑張っている、という視点からマスコミで多く取り上げられるようになった。そのような社会的状況の中で、プロジェクトは今治タオルの知名度を上げ、注文も増えるなど、3年間で産地が変わる手応えを感じることができたという。
次に経営者と生産現場のお話を聞くため、タオル製造会社コンテックス(株)の代表取締役社長である近藤聖司氏を訪ねた。近藤社長は四国タオル工業組合の現理事長でもある。