2026年2月25日 / 最終更新日時 : 2026年2月27日 ihcsacafe_user 全ての記事 アレンジは無限大∞ 究極の映えアイテム 「屏風」を飾ってみませんか? アレンジは無限大♾️究極の映えアイテム 「屏風」を飾ってみませんか? 印刷用PDF 以前から大きな屏風絵を鑑賞するのが好きで、博物館、美術館で「〇〇図屏風」などがあると、いつまでも眺めていたい気持ちになる。昨年、ある特別展で出会った屏風は、折り畳み方によって見える絵柄が変わるというもので、屏風の構造の面白さにも興味を持った。 屏風をもっと知りたいと思い、東京都内に残る唯一の専門店「片岡屏風店」を訪れたところ、伝統的な装飾品である屏風が、令和の今、さまざまにアレンジされていた。屏風は博物館に展示するだけでなく、現代の生活空間やイベントで幅広く活用される大きな可能性を持っているのだ。 片岡屏風店の創業は1946年。お話を伺った片岡孝斗(かたおか こうと)氏は昨年代表取締役社長に就任した3代目。米国への留学経験から流暢な英語を操り、海外との直接取り引きや、外国人客の対応にもあたっている。 まずは屏風の基礎知識から教えて頂いた。屏風は今から1300年ほど前に中国大陸から日本に伝わったと考えられている。その構造は、木材を格子状に組んでパネル状の枠組みを作り、このパネルどおしを横に蝶番(ちょうつがい)で繋げる。そしてパネル木枠の上にノリを付け、紙を何層にも重ねて貼り付けていき、最後に表面に箔やデザインを施す。 片岡孝斗氏 ベースとなる木枠 木枠の上に紙を重ね貼りする工程 和紙のチョウツガイ 片岡氏はここで、中国の屏風と日本の屏風には大きな違いがあることを見せてくれた。 まず木枠の素材において、中国の屏風では主に落葉樹を使用するため重量がある。重い屏風面を繋ぐ蝶番(チョウツガイ)は金属製であることが多く、そのためパネルとパネルの間にすき間ができる。 中国の金属製チョウツガイの屏風 一方、日本の屏風にはすき間がなく、驚くほど軽量である。これは木枠に杉など軽い素材を使用していることと、チョウツガイがなんと和紙で出来ているためである。この和紙のチョウツガイは日本の画期的な発明で、パネル間のすき間を無くし、各パネルを360度回転させられる。屏風を持ち運んだり、畳んで保管するのに極めて便利だ。表面に描かれた絵にも継ぎ目の影響を感じさせず、一枚のアートとして鑑賞できる。 和紙のチョウツガイ 屏風の需要 さて、私の「屏風」のイメージは、博物館にある「〇〇図屏風」だが、屏風専門店における主力商品とは何だろうか。片岡氏によると、最も需要が多いのは「節句屏風」。 日本では子供の成長を祝う伝統行事「桃の節句」と「端午の節句」があり、それぞれ雛人形、五月人形を飾る習慣がある。節句屏風とは、人形の背後に必ず立てて飾られる小型の金屏風のこと。 片岡氏の祖父が片岡屏風店を創業した頃は戦後のベビーブームで豪華な雛人形、五月人形を飾る家庭が増え、節句屏風の需要も激増。片岡屏風店は多くの職人を抱え、節句屏風の制作は多忙を極めた。しかしその後ベビーブームが去り少子化へ移行。生活スタイルの変化もあり、節句屏風の需要は減少していった。そこで片岡屏風店では、社屋の一階をショールームに改築し、個人のお客様から注文を取るオーダーメイドの屏風制作にも力を入れるようになった。 片岡屏風店のショールーム 人気のアレンジ屏風 世界に一つだけの屏風を作るこのオーダーメイドで人気なのは、思い出のある着物や帯を屏風に仕立てる「メモリアル屏風」。本来、日本の着物は親から子へ受け継がれ、手直しをしながら何代にもわたって大切に着用し続けられるもの。しかし着物を着る機会が少なくなった今、家族が以前大切にしていた着物はタンスの奥に眠っていることが多い。これらを屏風にリメイクすることで、思い出の品を室内装飾品として日々愛でることができる。着物や帯の生地は和紙との馴染みも良く、屏風として生まれ変わるのに最適な素材だそう。 思い出の帯と着物でメモリアル屏風 押し絵を施した屏風 またお気に入りの写真を屏風にすることも出来る。データを取得し、最新の印刷技術を駆使してプリントしたものを屏風に仕立てる。著作権が適切に処理されれば様々なアーティストとのコラボレーションも可能で、伝統的な絵柄だけでなく、アニメやポップアートも屏風になるのが斬新だ。 ポップアート屏風 すみだ水族館のクラゲの写真を屏風に 匠の手作業 印刷技術は最先端のものを取り入れているが、それを屏風に仕立てるのは全て職人の手作業だ。昔ながらの技法で、使用するのは糊(のり)と刷毛(はけ)のみ。紙を貼りつける作業においては、その日の温度、湿度に応じた微妙なさじ加減が必要で、それは全て職人の経験則に基づいて行われる。紙は貼って乾かすことを繰り返して何層にも重ねていくので日数もかかる。斬新なポップアートも、屏風にすることで手作りの伝統工芸品として生まれ変わるのだ。 屏風作りに使用する道具 Tシャツ、ジーンズを加工した屏風 屏風の実用性 そもそも屏風は、床に直接置く「間仕切り」、「風除け」として日本人の暮らしに取り入れられてきた家具である。また、見せたくないモノを背後に置いておけるので、「目隠し」としても利用できる。江戸時代、庶民は「長屋」という木造住宅棟に住み、各家族が狭い一つの部屋で暮らしていたため、屏風は必須アイテムであった。寝具は畳んで屏風の裏に隠し、屏風で仕切られた空間で食事をし、屏風ですきま風を防いで生活していた。この実用性は、屏風の持ち主がアート作品である屏風をどこに置きたいか、の選択肢を広げる。例えば、ダイニングからキッチンの入口が見えないようにしたい場合、そこに好きな絵柄の屏風を置き、眺めて楽しめる目隠しとして活用する、など。壁にかける絵画と異なり、屏風は自立式なので、壁に穴を開けて吊るす必要もない。 また片岡氏は、屏風の特徴として、使わない時は小さく畳んで狭い場所に保管できることをあげる。何世紀も前に描かれた屏風絵が比較的良い状態で保存されているのは、この特徴によるところが大きいのではないか、と指摘。表面の絵を内側に折り畳めるので、直射日光や空気の影響を受けにくく、長期保存に適しているのであろう。 背景としての演出効果 さらに、屏風のもう一つの大きな役割は「演出効果」である。小型の金屏風が節句人形の背景に置かれるのは、豪華でおめでたい雰囲気を醸し出すための演出である。結婚式場や祝賀セレモニーの場に金屏風を置くだけで、スポットライトを浴びたように華やかになり、注目を集める効果がある。まさに「映え」写真を撮るために最適なアイテムだ。屏風は自立式で持ち運びも簡単なので、その場の雰囲気をピンポイントで即座に変えることが可能である。 また、ファッションブランドのイメージに合わせた屏風を店舗でのディスプレイ背景にする、という使い方も。 北斎屏風 片岡屏風店がある墨田区は葛飾北斎ゆかりの地であるという縁から、海外でも人気の高い北斎の浮世絵作品を貼った屏風を制作している。小型で軽量、折り畳めるので外国人観光客に人気のお土産品。東京スカイツリーの売店でも販売されている。 北斎屏風が数種類並ぶが、人気のあまり売り切れの品も。。 ワークショップ 片岡屏風店では人気の「北斎屏風」を「からくり屏風」として制作体験するワークショップも開催している。「からくり屏風」とは、閉じたり開いたりするごとに異なる絵が現れる不思議な屏風。一つの屏風で4つの北斎浮世絵が楽しめる。修学旅行生の体験学習として、また、外国人旅行者も家族で参加するなど、楽しみながら屏風作りを身近に感じられる機会になっている。 〜からくり屏風を動かす動画〜 その1 〜からくり屏風を動かす動画〜 その2 新しい節句屏風 片岡屏風店では今も全国の人形問屋に節句屏風を納品しているが、従来の屏風に加え、現代の住宅事情を勘案して、コンパクトで新しいスタイルの節句屏風を考案、販売している。 ひな人形、節句兜と一体化した屏風 (もはや人形は置く必要ない?) マグネット付きひな飾り屏風 (マグネット付きのひな人形を屏風に取り付けられる) 従来の雛人形は高価で壊れやすいため、幼い子供は触らせてもらえないこともあるが、これなら子供自身が各人形のポジションや役割を考えながら貼り付けていくことができ、学びにもなる。お節句の時期以外はコンパクトに畳んで収納、またはチョウツガイの360度回転機能を活かして、屏風の裏面を別の装飾パネルとして活用できるという、アイディア満載の屏風。 ショールームでお話を伺い、展示されている大小さまざまな屏風を眺めていると、どんどん興味が湧いてきて、自分ならどんな屏風をどこに置きたいか、という夢が広がっていく。美しさと機能性を兼ね備えた屏風は、新しい価値を生み出せる。例えば、演出道具としてYouTube動画撮影の背景にしたり、小型屏風を自撮りの背景として持ち歩いてみるのもよいかもしれない。 オーダーメイドの費用については、お客様の予算に合わせて、、とのこと。まずは一度、片岡屏風店ショールームに足を運んでみてはいかがだろうか。 ********************** ≪取材協力≫株式会社 片岡屏風店〒131-0033 東京都墨田区向島1-31-6TEL: 03-3622-4470https://wwwbyoubu.co.jp