東京トワイライト × タイムラプス

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動画:https://youtu.be/P7Of12mJATA(音が出ます)

東京トワイライト
 世界を代表するコスモポリタンの一つ、東京。この数十年間の発展は目を見張るものがある。2000年前後に東京の100 m以上の建物が100棟を超え、特に2020年を目指して加速してきた東京の勢いは凄まじく、2020年現在は400棟を超えている。1993年には東京港の象徴となったレインボーブリッジ、2012年には東京スカイツリーが竣工。それらの建物や空港、駅や橋などの交通機関から放たれる夜の光はこの大都会を華々しく照らす。マジックアワーと呼ばれる時間をご存知だろうか。日没前と日の出後の数十分間の時間で、空の色が変わる最も美しい時間帯のことである。薄暗くなるとビルや様々な施設の照明が灯火され、都市も輝き始める。東京トワイライト、東京が輝き始める時間である。季節は冬。日中の時間が最も短い季節は光が灯る時間も早い。オフィスもまだ稼働している時間なので、多くの建物に光が灯される。そんな季節にこの東京をタイムラプス✳️という手法で撮影を開始した。(撮影は2017年1月)

✳️タイムラプス
 長時間露光した静止画を連続再生(動画化)した映像。インターバル撮影、微速度撮影とも呼ばれ、長時間の映像を短時間で再生することができる。また、夜景を動画撮影する際にはISO感度を高くする必要があるが、感度を高くすることにより、ノイズ(画像に現れる粒状のザラつき)が現れるようになり、画質が乱れる。タイムラプスでは、長時間露光が可能なので、低い感度で撮影することができ、夜景でも美しいノイズのない映像を再現することができる。

1.東京駅
動画:https://youtu.be/0JEfzN8lN1M

 丸の内側の丸の内駅舎は2012年に500億円を投じて1914年の創建当時の姿に復元された。南北の二つのドームに囲まれ、中央にメインのエントランスがある。石膏パーツなどで装飾された内観の美しさも知られているが、赤レンガと銅板で装飾された外観も美しい。照明は全てLEDで行われており、コンセプトである「和やかな景色」の通り、やわらかな間接照明を多用している。東京の表玄関にふさわしいたたずまいである。1日あたりの列車発着本数は約3,000本、乗降客はJRだけでも50万人近くにのぼる。周辺には近代的な高層階のオフィスビルが立ち並ぶが、それらとのコントラストがまた美しい。陽が沈み照明に照らされる建物を見ると、周囲のオフィスビルの照明とは一味違う暖かさを感じることができる。

2.浜崎橋ジャンクション
動画:https://youtu.be/4QVAiozSyuo

 首都高速道路のジャンクションである。北は銀座や東京方面から、西は中央高速からつながる新宿・六本木方面からと、羽田・横浜方面へつながる首都高速環状線の東京最大の要所と言っても良い交差路である。常に交通量が多く、渋滞も激しい場合がある。周囲は新橋や芝など、こちらも東京の中心地の一部である。首都高速を走り抜ける車両のライトが美しい。高速道路の横を頻繁に新幹線が通過していく。すぐ脇には羽田空港へ向かう東京モノレールも見える。大都会の活きた動脈を見ているようである。

3.羽田空港
動画:https://youtu.be/G4jczdh8RQQ

 正式名称は東京国際空港である。日本を代表する空港であり、2017年の乗降客数が世界で4位であった。航空機の年間の発着回数は約384,000回で1日に換算すると約1,000回。旅客数は年間約66,700,000人、1日では約180,000人となっている。一時は千葉県の成田空港(新東京国際空港)に首位の座を奪われたが、海の埋め立てによる拡張などにより、首位に返り咲いた。4つの滑走路があり、3つのターミナルがある。それぞれの屋上に展望デッキがあり、それぞれ目の前に滑走路を見ることができ、離発着する航空機を眺めることができる。この日は3時間ほどの間、タイムラプスのシャッターを切り続けたが、ひっきりなしに飛び立つ飛行機、滑走路を滑るようにやってくる飛行機の数の多さに驚いた。これほどの飛行機を安全にコントロールする空港の職員の能力の高さに、改めて敬服する。

4.レインボーブリッジ
動画:https://youtu.be/kDWCejz5cF8

 正式名称を「東京港連絡橋」という。私も含めてであるが知らなかった方も多いのではないだろうか。「レインボーブリッジ」という名称は一般公募により決められたようだ。東京湾や東京のビル群など、その素晴らしい眺望から、ドライブコースとしても人気がある。日没後にはライトアップされて更に美しくなる。12月には花火大会も行われる。この日は対岸のお台場海浜公園にカメラを構えた。随分と観光客が集まっていた。ブリッジを眺める場所に設置されたフェンスには隙間がないほどに人が並ぶ。聞こえてくるのは外国語ばかり。アジアからの観光客だろうか。壮大でかつ気品さえ感じる大橋がライトアップされると、一層その美しさが際立った。

5.芝浦アイランド
動画:https://youtu.be/g-5mZoNVyl4

 港区芝浦4丁目の再開発地区の総称である。1900年初頭に埋め立てられた、周囲を運河に囲まれた島である。当初は工場や車庫・倉庫などが並んでいたが、大手ゼネコンなどの共同事業として1990年後半から再開発が始められた。「芝浦アイランド」はその当時名付けられた愛称でもある。4街区に別れ、いくつかの高層マンションが建ち並ぶ。島の中央を東京モノレールが走っているが、駅はない。時折通過するモノレールが放つ光も相まって、輝く摩天楼は圧巻である。

6.西新宿
動画:https://youtu.be/zXjPN-h6y-A

 戦後まもなく新宿の地に商業施設などを集中させるべく、新宿副都心計画が策定され、1971年に建設された京王プラザホテルを筆頭に、200 m以上の数々の高層ビルが建設された。現在では珍しくなくなった高層ビルだが、地震の多い日本ではかつては建築が無理だと言われていたため、当時は新宿の高層ビルは大きな話題となった。向かって右手前のビルは「コクーンビル」と呼ばれる比較的新しいビルで、私立専門学校が建築した。それまでの新宿になかった新しい雰囲気をかもし出している。

7.東雲(しののめ)高層マンション群
動画:https://youtu.be/FXgSIdPRv-0

 江東区臨海部に位置し、かつては大手製鋼企業の工場などがあった場所が東雲である。1990年になってから官公庁や公団をはじめ、民間デベロッパーによる開発が進み、現在では幾つもの高層マンションが建ち並んでいる。10,000世帯以上、23,000人以上の人口がある。最寄の駅東京メトロ辰巳駅付近にある、人だけが渡ることができる辰巳桜橋のたもとにカメラを構えた。ちょうど夕方の帰宅時間と重なったため、多くの人々が橋を渡って巨大なビル群に吸い込まれていく。遠い空の向こうから夕焼けとともに一面の雲が流れてきた。マンション群全体を包み込み、幻想的な映像となった。

8.佃(つくだ)高層マンション群
動画:https://youtu.be/GmsoGN1Atqw

 荒川から分岐した隅田川が東京湾へ流れ出る中州が佃という中央区の町名である。かつては佃島として、まさに河口の島であったが、埋め立て、造成などを経て隣接する石川島と合併して町名となった。隅田川にかかる橋はいくつかあるが、今回カメラを設置したのは首都高速も通る隅田川大橋。ここは夜景の撮影スポットとしてもよく知られている。この日も数人が三脚を立てていた。ここからは佃の高層マンション郡と共に、ライトアップされた永代橋を一緒に捉えることができる。永代橋は江戸時代に創架された重要文化財で、その姿が美しい。その下を時折こちらも電飾された屋形船が通過する。佃は東京でも、超高層住宅の先駆けとして有名だった場所で、商業施設や、マンションが建ち並んでいる。
 7,000世帯以上、約15,000人が暮らす。建物と永代橋の形が実にバランスよく、映像としても美しい。。

9.東京スカイツリー
動画:https://youtu.be/hIO0OkRb15I

 3年半の期間をかけ、2012年に開業した商業施設とオフィスビルを併設した電波塔である。人工の建造物としては世界第2位の高さで、634 mとなっている。港区の東京タワーが、その位置から周囲に高層ビルが林立し始めたため、電波が通りづらくなるといった弊害が発生し始めたことからスカイツリーの建設が計画された。完成以来、様々なメディアで「東京スカイツリー撮影スポット」なる記事が紹介され、特に美しさを誇るスカイツリーのライトアップも併せて、様々な姿が映像によって紹介されている。今回は東武伊勢崎線の浅草駅から駒形橋を渡り、浅草通りのたもと近くの歩道からカメラを構えた。ちょうど通りの真ん中の先にスカイツリーを捕えることができる。この距離でスカイツリーを眺めると、改めてランドマークとしての存在感を感じる。

10.晴海高層マンション群
動画:https://youtu.be/dgBkmwMLEJg

 地下鉄とゆりかもめの駅、豊洲駅から徒歩で数分歩くと、豊洲公園の遊歩道へ出ることができる。運河に沿って整備された遊歩道が続き、そこから晴海の全景を見ることができる。撮影を行った2017年はまだ高層ビル群は少なかったが、2020年東京オリンピックの選手村が建設されていることから、現在ではもっと多くの建物を見ることができる。時折広い運河を、不思議な形をした水上バスが行き交う。調べたところ、著名な漫画家がデザインした船だという。いかにも東京らしい景色である。

11.南新宿
動画:https://youtu.be/uc5yl-PX750

 元々は国鉄(現JR)の貨物基地であった場所が再開発された。1996年に大手百貨店が商業施設を開業し、その後新宿発着の高速バスのターミナルとして、バスタ新宿(正式名称:新宿南口交通ターミナル)が開業した。この二つの施設と隣接するオフィスビルや商業施設の開業などにより、南新宿は様変わりした。バスタ新宿からは日本各地との間で高速道路などを通して毎日約1,600本のバスが発着する。商業施設やオフィスビルからは、毎日たくさんの人々が行き交うようになった。副都心近くにまた一つ、スポットが誕生した。

撮影後記
 改めて東京の魅力を感じた撮影であった。今回のタイムラプス撮影では3~5秒間に1回、1,000~3,000回シャッターを切る、という長時間の撮影手法をとった。1回の撮影には短くても約1時間、長いと3時間以上という長時間を要した。もちろん設定したカメラが自動で撮影してくれるが、現場を離れることはできない。1日に撮影できる場所は一ヶ所。しかも季節は真冬。道路沿いや橋のたもとなどで三脚を構えての撮影は忍耐という他なかった。しかし東京は輝いていた。多分、撮影をした2017年よりも今年(2020年)は輝いているはずだった。嘘のような展開である。誰もがそう思っていることだろう。しかしきっと、もっと輝く東京が復活することは間違いない。輝く光の一つひとつの力強さは未来へ向けて決して消えないからだ。

撮影・執筆/松本 新:SHARATA 株式会社アドワイヅ http://www.sharata.info/
《SHARATAでは、日本の絶景を4K映像で紹介しています。たくさんの方々に多くの絶景をお楽しみいただきたいと考えています。》

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