阿蘇ジオパークの中でも中心的存在である中岳は、有史以前から現在まで活発な火山活動を続ける日本有数の活火山である。中岳中央火口を目指して車を走らせた。
牧草地のあか牛を眺めながら阿蘇パノラマラインを行くと、白い煙が立ち上る中岳火口の手前が広く開けている。草千里と呼ばれる草原で、ダイナミックな火山を背景に乗馬を楽しむ観光客に人気が高い。
中岳の火口へ上る方法はいろいろある。元気な人は遊歩道を歩くこともできるし、どうしても歩きたくなければ、有料道路で火口まで行くこともできる。それほど脚力に自信がない記者としては、往路はロープウェーで火口駅まで上がり、下りは遊歩道を歩いてみた。
取材当日は快晴で、火山ガスの注意報・警報もなく火口見物ができた。火口駅を出ると直ぐに独特の硫黄臭がただよっている。展望指定区域から火口を容易にのぞくことができた。そこには白煙が立ち上る火口、エメラルドグリーンの湖のような「湯だまり」、そして独特の荒涼感を醸し出すむき出しになった地層など、他では見たことのない景観があった。