更に道を進むと、いくつかの建物と厳(いかめ)しいゲートが現れた。中岳火口入り口である。噴火の警戒や風向きによっては危険な火山ガスに包まれるため封鎖する、というゲートを通過した途端に景色は一変した。それまでの草原は消え去り、おどろおどろしい岩石が一面に広がる。茶褐色の色がさらに雰囲気を強調する。地獄絵図とはこのことかと思えるほどである。数分走ると火口が見えてきた。車を停め、火口へ向かうと独特の硫黄の匂いと微(かすか)かに火口から音が聞こえる。柵越しに火口を見ると水は溜まっていなかったが、煙が噴出する底を見ることができた。直径600m、周囲4km、深さは約130m。活動中の火口を目視できる世界的にも珍しい火山である。年間100万人以上が訪れるという。