数多くのONLY ONEと魅力に満ちた阿蘇

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1.かぶと岩展望所
動画:https://youtu.be/cFz1AONnEWQ

 熊本空港から車を走らせた。今回の目的は「阿蘇」である。南北25km、東西18km周囲、面積380㎢の外輪山が周囲を囲むカルデラ地形である。約27万年前から9万年前までに起きた大噴火によってできた阿蘇には、様々な景観の自然美があり、その中で自然と融合した人々の活き活きとした生活が営まれている。空港から30分程走ったところで、急に視界が開けた。雄大な景色である。外輪山には所々に展望所があり、様々な角度から阿蘇とその中心にそびえる阿蘇五岳(あそごがく)を観ることができる。そのひとつ、かぶと岩展望所からこの400m前後の外輪山に囲まれた阿蘇を眺めた。

2.参勤交代の石畳(さんきんこうたいのいしだたみ)
動画:https://youtu.be/Uc79gK02KsQ

 かぶと岩展望所のすぐ近くのニ重の峠。別名豊後街道(ぶんごかいどう)。外輪山の中でも200m前後と最も低く、外輪山を越える場所として古くから通行の要所であった。江戸時代の制度であった参勤交代のため、熊本城から江戸を目指したルートである。大勢のお供を率いた大名がここを通り、大分の港から瀬戸内海と東海道を経て江戸へ数十日かけて向かったと言われている。厳かな歴史の重さを感じる路である。

3.草千里ヶ浜(くさせんりがはま
動画:https://youtu.be/4BeiyyYEbc0

 宿泊した阿蘇のホテルを朝5時過ぎに車で出発した。20分ほど走ると阿蘇山へ登る道へ入る。しばらく走ると視界が開け、草原と丸い池のような湿地帯が見え、その向こうには煙を上げる阿蘇中岳(あそなかだけ)がそびえている。数千年前に形成されたという草千里ヶ浜である。阿蘇五岳の1つ、烏帽子岳(えぼしだけ)の北麓に広がる大草原と、旧い火口に雨水が溜まってできたといわれる2つの池がつくる景観の美しさは不思議で、地球上のものではないのではないかと錯覚すら覚える。

4.阿蘇中岳火口
動画:https://youtu.be/RA8DNxkKjko

 更に道を進むと、いくつかの建物と厳(いかめ)しいゲートが現れた。中岳火口入り口である。噴火の警戒や風向きによっては危険な火山ガスに包まれるため封鎖する、というゲートを通過した途端に景色は一変した。それまでの草原は消え去り、おどろおどろしい岩石が一面に広がる。茶褐色の色がさらに雰囲気を強調する。地獄絵図とはこのことかと思えるほどである。数分走ると火口が見えてきた。車を停め、火口へ向かうと独特の硫黄の匂いと微(かすか)かに火口から音が聞こえる。柵越しに火口を見ると水は溜まっていなかったが、煙が噴出する底を見ることができた。直径600m、周囲4km、深さは約130m。活動中の火口を目視できる世界的にも珍しい火山である。年間100万人以上が訪れるという。

5.米塚(こめづか)と杵島岳(きしまだけ)
動画:https://youtu.be/tdlBS3z2agk

 火口を少し下ると、美しい円錐形をした米塚が現れた。これも3千年前に形成された火山で、スコリア丘と呼ばれ、吹き出したマグマが一気に冷却されてできた火山だという。人口の丘ではないかと思ってしまうほど美しい。米塚の阿蘇山側にそびえるのが杵島岳である。その荒々しい山肌は2016年の熊本地震によってできたものである。

6.鍋ヶ滝(なべがたき)
動画:https://youtu.be/V0fOrNYQDZQ

 阿蘇の北部の蓬莱川(ほうらいがわ)に架かる滝である。整備された階段を降りると美しい水しぶきを眼前にする。滝の裏側へも廻(まわ)る事ができる。TVのCMに起用されてから人気のスポットとなった。

7.大観峰(だいかんぼう)
動画:https://youtu.be/g5gjpjOW-Lo

 阿蘇の外輪山に数ある展望所でも最も有名な場所である。阿蘇の北部からはこの地の全てを眺めることができ、中心の阿蘇山の火口から吹き出る煙が印象的である。

8.池山水源(いけやますいげん)
動画:https://youtu.be/88BcSdECBoI

 阿蘇の歴史を辿ると、燃える大地と流れる水によってこの地が創られたということが分かる。数ある阿蘇の水源の中でも、環境庁指定の名水百選に選ばれている美しい水源である。

9.南阿蘇鉄道(みなみあそてつどう)
動画:https://youtu.be/1uNrBqcRI6k

 旧国鉄の路線であったが、現在は地元の第三セクターが運営する。2016年の熊本地震の被害を受け、現在も一部路線が不通となっている。真っ赤な車両と実った稲の黄色とのコントラストが愛らし。

10.ミルクロード
動画:https://youtu.be/v5MdGlEcUc0

 北部の外輪山の上を走る県道の一部、50kmほどの道路の愛称である。近隣の酪農家から搾乳された牛乳を運ぶ道であることから名付けられた。電信柱などなく、高原を爽快な気分で走行する事ができる。すぐ際には外輪山の断崖があり、上空からの眺めではなかなかスリリングである。

阿蘇撮影後記
 3日間をかけて阿蘇を撮って周った。どこを観ても独特な景観ばかりで驚いた。外輪山の中は阿蘇五岳を中心に田畑が広がり、山肌や所々に家々が続く。5万人あまりの人々が暮らすという。今回撮影にご同行いただいた、阿蘇ジオパークガイドの和田氏は言う。「阿蘇には人が暮らす全てが揃っています。無駄なものは何ひとつありません。ひとつ一つの成り立ちにちゃんとした理由があり、自然との共存がとてもうまくいっている場所なんです。」ひとつ一つの存在がONLY ONEであり、この地の魅力となっている。日本全国様々な場所を撮影してきたが、最も印象深い場所の1つとなった。

撮影・執筆/松本 新:SHARATA 株式会社アドワイヅ http://www.sharata.net/
《SHARATAでは、日本の絶景を4K映像で紹介しています。たくさんの方々に多くの絶景をお楽しみいただきたいと考えています。》

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