エピソード82 ナ スフレダノウ!

 

ズザナとミーシャ 日本の魅力大発見
~チェコ人カップルの日本縦断自転車旅行~

【エピソード 82】
<ナ スフレダノウ!>

親愛なる読者のみなさま、サポーターさま、そして親愛なる友へ。

この11ヶ月間、私たちは人生の冒険をやり抜きました。

私たちが日本にやってきたのは2019年6月1日、結婚してわずか10日後のことでした。疲れているうえ不慣れな環境ではあったけど、ハネムーンにわくわくしていたし、未知なるものと向き合う準備はできていました。

ただこのときは、北から南への縦断の旅を終えるのが2020年1月ではなく4月までかかるとは思ってもいませんでした。自転車で7,500 kmを走るなどということも、予想だにしていませんでした。

私たちが思い描いていたのは、日本を探索し、互いの愛情を深めつつ、旅を楽しむことでした。それが具体的にどういう形になるかなんてことにはこだわりませんでした。実際に、私たちはこの夢を実現して、この素晴らしい国で最高に楽しく忘れられない日々を過ごしました。でもそれではまだまだ言い足りません。

一つ一つの山に心奪われ、一つ一つの川に心を洗われ、いくつもの寺社に感動し、風変わりな祭りや行事に参加し、見るからにおいしそうな料理を味わい、美しい海で泳ぎ、すばらしい温泉につかってうっとりし……。

しかし何にもましてすばらしいことが一つあります。日本の人々です。旅でこんなに親切にしてもらえるなんて、想像だにしていませんでした。まったく見ず知らずのよそ者なのに、行く先々で地元の人たちから温かい歓迎を受けました。幾度となく、おかしやスナックや農産物をもらいました。一日たりとも、手助けや応援の言葉をかけられない日はありませんでした。

このすばらしい機会を得られたことへの感謝の気持ちは、これからもずっと忘れません。

IHCSAの協力と友情にも感謝します。とりわけ牛山さんには、いつでも必要なときは力を貸すよという心からの気持ちが伝わるとともに、私たちの冒険を根気強く翻訳してくださったことを、ありがたく思っています。また、三木さんがブログに熱心に取り組まれ、辛抱強く私たちとやりとりしてくださったことにも感謝しています。

そして、私たちを信用してくれて、自宅に招き生活に迎え入れてくれた日本中の人たちのことを、大切に胸に刻みます。今度はみなさんがおいでください。いつでも歓迎します。

いまは家に帰って家族と一緒にいます。チェコの家でもなければ本当の家族でもないのですが、同じくらい安心感があり愛情あふれる場所です。エリカ、ナオユキ、リュウキ、エレナ、私たちを柴田家の一員として迎えてくれてありがとう。そもそも日本に向かったのはあなたたちがいたからであり、北海道や東北から目指した行き先はあなたたちであり、最後に戻ってくる先もあなたたちでした。助けがほしいときや、笑顔が見たいとき、ただちょっとだけ話を聞いてほしいときも、昼夜を問わず頼りにできるのはあなたたちでした。「ステイホーム」というこの異様な時期にあって、日本での最後の数週間をあなたたちと過ごせたことは、ハネムーンの年という、私たちの人生最高の年のフィナーレを飾るのに申し分のないできごとでした。

さあいよいよです! 読者のみなさま、これがいよいよ最後のエピソードとなります。私たちの話に時間を割いてくださってありがとう。これからどうなるだろうって?  まだわかりません。ズザナはいま本を書いていますが、ひょっとすると有名になって日本語に翻訳されるかもしれませんよ。そうなったら、このユニークな国にまた戻って来て、もう一度初めから新しい旅をする絶好の理由になりますね!

どんな状況に追い込まれても、私たちの人生がこれからどの方向に進んでいこうと、必ず日本でのことを思い出すでしょう。私たちにとっては、末永く幸せな結婚生活への足がかりなのです。どんなに辛く悲しい時も笑顔にさせてくれる記憶なのです。

ジェクエメ・ア・ナ・スフレダノウ!

ありがとう、そしてさようなら!

 

 

 

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