食による文化交流と地域活性

2013-03-06

有限会社コートヤード代表取締役 新田美砂子さん

食による文化交流と地域活性

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季節ごとに採れる多種多様な旬の食材を健康的に美味しくいただくためのレシピや商品開発等を行っているコートヤード代表の新田美砂子さん。
講演やコンサルタントで日本各地を飛び回っている新田さんに、地域に眠っている農産物を活用した地域活性や、世界無形文化遺産登録に向けて動いている日本食文化についてお話を伺いました。

日本ソムリエ協会に
招かれての講演

「食と農コーディネーター」になられたきっかけは何ですか。

 野菜料理の研究をしていくにつれ、農産物が、個性豊かで魅力的な食品であることに気付きました。しかし、日本の農産物は長い歴史の中で消費者と生産者の距離が離れてしまったことから、消費者の「美味しい農産物が食べたい」というニーズと、生産者の「自分の農産物を食べてほしい」という双方のニーズがミスマッチしている残念な状況を感じたのが、コーディネーターとして活動を始めたきっかけです。
 コーディネーターとして、生産から流通、販売、消費までの農産物の流れや現状を理解する必要があると感じ、全国の産地を訪問したり、農業現場に携わったり、店頭等で対面販売も経験してきました。

長引く不況や少子高齢化などの影響により地域の活力が失われていますが、新田さんが取り組んでおられる農と食をつなぐプロジェクトから見えてくる地域の現状の課題とは何でしょうか。

 各地でお話しを伺うと、「この地域にはたいして何も資源がないのですよ」とよく皆さんおっしゃいますが、私のようなよそ者からみると、実はさまざまな資源は持っている魅力的な地域だと感じることがあります。
 地元の良さが現地の住民になかなか見えない一つの要因としては、自地域を客観的に見る機会が少ないことがあると思います。客観的に見るためには、地域外の人々との交流や前向きになれるための情報が必要で、それがないと閉塞感が生まれてしまうのではないかと感じています。

いつも大盛況な料理教室

各地で素材を加工した食品の製造販売や観光農園を営むなど第六次産業化*の動きが出てきましたが、事業を進めていくに当たり気を付けなければいけない点や成功となる秘訣みたいなものはあるのでしょうか。

プロデュースした
万能調味料の”塩麹”

高糖度トマト(アメーラ)を
使って開発した
“アメーラチョコレート”

 農産物や農業のスタイル、地域性等によって六次化の方向性は異なってくると思います。自分に合ったやり方を模索することと、常に「いつどこで誰に買ってもらうのか」や「品質や独自性の高さ」を考えて、商品開発や事業を推進することです。また、六次化によって地域住民を始め、農、商、工、学、医等さまざまな人たちと直接繋がりが出来ていきます。
 当たり前のようですが、自分だけではなく、繋がった皆が幸せになれるように物事を推進していくことが、六次化と地域活性化の成功の秘訣だと思います。

*第六次産業化:第一次産業である農林水産業が、農林水産物の生産だけにとどまらず、加工食品の製造販売や観光農園のような地域資源を生かしたサービスなど、第二次産業や第三次産業にまで踏み込んだ経営の多角化により地域の活性化を図るものである。

 世界的にも高い評価を得ている日本食文化を「世界無形文化遺産」にという動きが政府主導でも行われていますが、どこにポイントをおいて海外に発信していけば効果があると思われますか。

 日本の食文化は、長い歴史の中で培われたものです。日本人は農耕民族ですから、その土地に根差して田畑を耕し、そこで文化を育ててきた経緯があります。ですから各地には、伝統的な食品や食べ方、それに関連した文化芸能等があります。
 食文化なのだから料理関係者のみが携わるのではなく、もっと広く、食と繋がる文化も含めて伝える工夫をしたり、それぞれの立場で発信力を持つことで、日本の食文化がより分かりやすく海外に発信できるのではないかと思います。

 

 

 

 

 

 

 

最後に新田さんの今後の抱負をお聞かせください。

 食は、単にお腹を満たすだけのものでなく、心も満たす力があります。「食」という漢字は人を良くすると書きます。人も地域も食の持つ力で元気で楽しく、時には、体も心も癒すお手伝いができたらと思っています。また、日本国内のみならず、海外にも日本の農産物の奥深さや面白さを食文化の一環として海外に発信していきたいと考えています。

 

<プロフィール>

新田 美砂子
有限会社 コートヤード 代表取締役
食と農コーディネーター・野菜料理研究家
日本野菜ソムリエ協会 講師
NPO法人 野菜と文化のフォーラム 理事
社団法人 食料需給研究センター 食農連携コーディネーター
おいしい野菜と料理の空間「Green table」主宰

 「畑の美味しい野菜を食卓に」をテーマとして、主婦や野菜料理教室講師としての消費者目線と、全国各地の生産現場を見て回りながら、都内農産物直売市(マルシェ)立上げや農業の生産現場に携わってきた経験を活かして、「消費者のニーズや農産物の特性を引き出した食の提案」をモットーに、商品開発、レシピ開発、生産者と消費者をつなぐイベントなどを多く手掛けている。
 一般の消費者のみならず、生産団体、種苗会社、実需者等にもアドバイスを行ったり、地域農産物を使った地域活性化や特産品作りなどのコーディネートやアドバイスも行っている。

・栃木県 栃木マルシェアドバイザー
・千葉県 ちば戦略的デザイン活用塾 商品開発コンサルタント
・福島県 六次化ネットワーク 商品開発コーディネーター
・静岡県 サンファーマーズ(アメーラトマト)社外ブレーン 等

有限会社コートヤード http://courtyard.co.jp/

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